せきゅぽろ 15
標的型攻撃に関して
一つ目のテーマは、トレンドマイクロの平原 伸昭さんによる、標的型攻撃に関するお話でした。
2、3年前までは遠い海の向こうの話、というイメージだった標的型攻撃も、最近は日本でも標的型攻撃だと思われる事例が報道されたり、すっかり身近(?)になってきました。
もっとも印象に残った言葉は「注目すべきは不正な活動ではなく、不審な活動」。
そもそも「不正な活動」なら、アンチウィルス製品や IPS の類で検知できるけど、本当に標的型攻撃が行われている時は、明確に不正な活動ではなく、管理者がやっているのと同じ事が行われている、ということです。
例えば、管理共有を使ったファイルのコピーや PsExec などのツールの利用など、それ自身は不正とは言えない処理があり、それらを「点」として捉えると、白黒つかないけど、じゃぁ、それらが「どこから」「いつ」といったところまできちんと調べると、「それはおかしい」ということに気づくことになります。
逆に、そういった動きが「怪しい」と分かるように、普段の運用環境をきちんと整理しておく事が大切だよなぁ、と思いました。
あと、実際のマルウェア解析の一端を紹介してくれました。
いろいろツールはあるんだけど、まずは OllyDbg を使って、どんな動きなのかを知る、というところからスタートするそうです。特に、インシデント対応の場合は、通常のマルウェアのようには時間をかけられないので、どんなファイルを保存するのか、どんなレジストリを書き込むのか、といった辺りを、OllyDbg で Win32API にブレークポイントをはって確認し、被害範囲を把握する、といった感じだそうです。
プライバシー周りのお話
二つ目のテーマは、北大大学院教授の町村 泰貴先生による「オンライン・プライバシー」でした。
まずは、そもそもの話、ということで「個人情報」と「プライバシー」の違いといったところで、個人情報に関しては個人情報保護法によって規定されているけど、プライバシーに関しては法的に明確に規定されてない、ということでした。故に、プライバシー侵害に関しては、民法 709 条に基づく民事での損害賠償はあっても、刑事罰はありません。ただ、プライバシー侵害の中に名誉毀損も含まれる場合もあって、名誉毀損になれば刑事罰の対象になるそうです。
で、私も最近聞いたキーワードで「忘れられる権利」というのがあるのですが、さすがに広まってしまった情報を全て回収して消すことは不可能だけど、一度与えた情報をいつでもオプトアウトできるようにすべきだろう、という話でした。
プライバシー保護の必要条件として、町村先生が挙げていた項目は、上記の「忘れられる権利」の他に、情報の収集・理由に関して十分な情報が与えられる「インフォームド・コンセント」と、収集・利用した側が漏洩防止に十分なセキュリティを施す「データ漏洩防止の保証」を挙げられていました。
現在、この辺をまとめた「パーソナルデータの利用・流通に関する研究会の報告書」に関して、総務省がパブリックコメントを募集中だそうです*1。
次回は
次回は 7/20 に Yahoo の 戸田 薫さんが、ワンタイムパスワードに関してお話してくれるそうです。...って、今、大変な時じゃないのかなぁ。
ちなみに、次回は「気象兵器」のまっちゃさんもいらっしゃるようです(^^;。