せきゅぽろ 22

今回は、立命館大学の上原哲太郎先生による、マイナンバーのお話でした。

マイナンバーの話となると、

  • マイナンバーを管理するはめになった企業向けの話。
  • プライバシーに関するマイナンバー制度の問題。

といった2つのパターンのが多いと思いますが、もちろん上記の点も含め、非常に広範囲の話を聞くことが出来ました。

Slideshare で今日の資料が公開されています。

今さら聞けないマイナンバー

詳細は上記の資料に譲るとして、印象に残った話を少し書きます。

国民総背番号制」はすでに実施済み

厳密に言うと、住基ネットに参加しなかった一つの自治体を除けば、ですが、住民票があれば、住基ネットで使われている住民票コードが付与されているので、「国民総背番号制」という意味では、マイナンバーで導入されるものではないです。

言われてみれば、そうだよなぁ、という話なのですが、逆に、住基ネットがうまく活用出来なかったことを示唆している感じがします。

チェックデジットがダサい

マイナンバーの最後の数字はチェックデジットなのですが、計算式で得られる計算結果は 1 〜 11 の整数。チェックデジットは一桁の数字。で、どうしているかというと、

「計算結果が 10 以上の時は 0」

だそうです。つまり、末尾が 0 の人は、他の数字に比べて2倍の確率で存在することになります。

ちなみに、この計算式は官報にも載っていて、で、官報は縦書き、ということで、計算式がどう書かれているのか、気になる人はチェックしてみましょう*1

システムの仕組みは結構複雑

Slideshare 資料にもありますが、単純に中央のデータベースがあって、そこにアクセスするような仕組みではなく、基本的には、各自治体が組織ごとにデータベースがあって、中央では必要に応じてひも付けをするような仕組みだそうです。

なので、マイナンバーのシステムによって、現状の住基ネットよりセキュリティリスクが特に高くなるようなことはない感じです。

マイナンバーによるプラバシー問題の本質は「名寄せコストの減少」

個人情報の漏洩、ということがニュースで大きく取り扱われるご時世ですが、本当に問題なのは、各種のプライバシー情報が「名寄せ」されることによって、芋づる式に個人関する情報が取得できてしまうことで、マイナンバーは、その「名寄せ」のコストを劇的に下げる効果があります。

故に、マイナンバーの民間利用に関しては慎重になる必要があり、民間が使いたいと言っている「目的」に対しては、フェデレーションのような別の「手段」が適当ではないか、といったお話がありました。

マイナンバーは「アカウント」

マイナンバーはあくまで「識別」するための番号であって、「認証」に利用するものではなく、いわば「アカウント」のようなもの、という説明は分かりやすかったです。アカウントだけでは本人かどうかは判断できないのと同様に、マイナンバーの番号だけで本人性を確認できるわけはない、ということになります。


全体的に、メディアが煽るようなリスク拡大はないように思えます。ただ、上原先生もおっしゃっていましたが、今後、民間活用を含めた利用拡大が検討されているので、その部分で注視していく必要はありそうです。

*1:私も後で探してみます ... ありました! http://www.soumu.go.jp/main_content/000327387.pdf