使い勝手を最優先すべきか

先日、友人のお母様から、PC 関係で相談があった。

ことのきっかけは、使っている PC が故障した様子で、修理してなんとか使えるようにするのが良いのか、買い換えた方が良いのか、といった相談がスタートだった。

地元で PC サポートをしている業者に見てもらったら、HDD の故障の可能性が高いが、持ち帰って調べてみないと分からない、という話。ただ、購入して7年も経っていると、マザーボード電解コンデンサ辺りが寿命になっていう可能性もあるし、仮に直ったしても、あと何年持つか分からないから、買い替えを勧めた。

まぁ、この辺はその業者さんと意見は違わなかったんだけど、買い換える時の OS の選択で意見が分かれた。

その業者さんは、使い勝手が慣れている XP の方が良いのでは、と勧めたらしい。

これはこれで正しいと思う。ユーザの年齢(多分、60 代後半)を考えれば妥当だと思う。

が、その一方で、XP を Microsoft が何時までサポートするか、という点は問題になる。XP は後継 OS(Vista)のリリースが遅くなったため、サポート期間が延長されてきた経緯はあるし、Vista が不評(特に、要求されるハードウェアスペックが高い)だったため、後継 OS 発売後、2年以上に渡って一般ユーザが入手可能な状態に置かれた、稀有な OS である。

ただ、Vista の後継(Windows 7)が今年の秋にリリースされることが決まっている。しかも、前評判が高い。おそらく、急速に Windows 7 の占める割合が高くなるだろう。Windows 7 の普及が順調に行けば、Microsoft としても XP のサポートをさらに延長する理由は薄くなる。

ユーザの年齢から考えると使い勝手を最優先にしたい気持ちは分かるが、逆に、同じ PC を7年も使うユーザでもある。3年後に XP を使っていることのリスクは高い。

今日、IE と DirectShow に関連するゼロ・デイの脆弱性が報告されている。

IEユーザーに注意: Microsoft Video ActiveX Controlにゼロデイ攻撃 - ZDNet Japan

脆弱性自体は、既に Microsoft からアドバイザリが出ているから間違い無いが、ZDNet の記事にある、

パッチは少なくとも数ヶ月間は用意されないだろう。

という記述が本当かどうかは分からない。ただ、もしこれが本当だとすれば、XP を使い続けるリスクが現実になってきている可能性がある。

この脆弱性Vista には影響しないことが確認されている。また、Symantec が IE8 には影響がない、と報告しているらしい。

だとすれば、最新のブラウザや最新の OS では影響が無いことを理由に、Microsoft がパッチ作成の優先順位を下げている可能性がある。

Kill Bit の設定で回避可能、ということもあるが、一般のエンドユーザが Microsoft のアドバイザリを見る可能性は低い。基本は Windows Update で穴をふさぐことだ。

もし、本当に「XP の古い IE でしか影響がない」という事がパッチ提供の遅れの理由だったとしたら、今、一般の人に XP を勧めるのは、かなりのリスクではないか。