It's the economy, stupid

この言葉は、直訳した時のイメージよりも、実際には少しやわらかく、「当然、経済が重要なんだよ」という程度らしいが、この言葉がはやること自体、あまり好きになれない。結局、すべてを経済問題に帰着させようとするときの決まり文句になってしまっているような感じがして...。

で、DRM

アップルがDRMキー発行を停止するとき--ユーザーの楽曲に起こること - CNET Japan

もしも、Apple が FairPlay のキーの発行を停止させたら、という話なんだけど、これも結局「It's the economy, stupid.」かなぁ、と。

散々もめて、同道巡りの感があるデジタル放送のダビングに関する問題。DRM の方が補償金よりも透明性が高くて自由度も高い、というのはわかるけど、じゃぁ、その DRM の技術が「Economy」の世界で思惑通り運用されるかどうか、というのがすごく疑問。

消費者と提供者の間で、DRM が制限する範囲とそれに対する価格を決めていけばいい、という話があったけど、でも、実際に消費者が手に出来るのは、提供する側が「うちはこういう制限のものしかないです」というものしかないし、それを柔軟に個別に設定できるサービスが登場するとは思えない。

デジタル放送で言えば、本来はコピーワンスだろうがダビング 10 だろうが、制限を必要としないコンテンツまで制限をかけている状況。よく例に挙げられるのが CM は制限を望んでいない、とか、NHK 教育の番組とかで、広く教育用に使うために放送しているものに制限がかかっているのは変だ、とか、それこそ、公共放送の災害情報までコピーワンス、とか、ようは、運用する側がいちいち権利者に確認して、このコンテンツはどういう条件で、と、個別に決めるなんてことは、それこそ経済的にありえないのでは?

DRM は確かに、技術的には消費者と提供者との間で細かく条件を設定できる可能性があるが、経済的にそういった運用がされることは無く、結局、提供者側の一方的な条件を消費者は受け入れるしかない。それも突然、提供者側が「そのコンテンツはもう、他のデバイスで聞けなくなります。あぁ、ファイルをコピーしてもダメですよ。だって、もう鍵を発行しないんだから」と言ってきたとしても、「サービス規約に書いてあるでしょ」と文句も言えない。

まさに It's the economy, stupid!!